偽弁護士の見抜き方|詐欺被害の二次被害を防ぐ6つのチェックと本物の弁護士の確認方法

投資詐欺・偽弁護士

詐欺の被害に遭ったあと、人は「お金を取り戻したい」という一心で、藁にもすがる思いで検索を始めます。その藁にすがる気持ちを、さらに食い物にする業者が存在する――これが、いわゆる「偽弁護士」や、被害回復をうたう怪しい業者による二次被害です。

私自身、投資詐欺で数十万円をだまし取られたあと、返金を求めて検索する中で、危うく着手金を払いかけた経験があります。マルチ商法と投資詐欺で「即決の代償」を散々学んでいたおかげで、ぎりぎりで踏みとどまれました。その詳しい顛末は看板記事「投資詐欺からの二次被害 ― 偽弁護士に着手金を払いかけた話」に書いています。

この記事は、その体験を踏まえて、「怪しい弁護士・被害回復業者を、契約する前に見抜くための具体的なチェック方法」に絞ってまとめた実践ガイドです。いま被害回復のために弁護士を探している方が、二次被害という二度目の地獄に落ちないために、契約前のひと手間として役立ててもらえればと思います。

はじめに ― なぜ「被害者」が二度狙われるのか

詐欺被害者は、加害者から見れば「一度だまされた実績のある人」です。冷たい言い方ですが、被害回復をうたう悪質業者にとって、被害者リストはこの上ない見込み客リストになります。

しかも被害直後は、冷静な判断力が落ちています。「早く取り戻さなければ」という焦り、「自分がだまされたことを誰にも言えない」という孤立感。この心理状態は、最初に詐欺に遭ったときと驚くほど似ています。二次被害の手口は、一次被害の手口とほぼ同じ構造で迫ってくるのです。

だからこそ、見抜くポイントを「知識として」事前に持っておくことが、最大の防御になります。以下、私が実際に遭遇した相手から学んだ、具体的なチェック方法を順番に挙げていきます。

見抜き方その1 ― ドメインの取得日を調べる

立派に見える事務所サイトでも、ドメイン(サイトのアドレス)の取得日が最近すぎる場合は要注意です。「数億円の返金実績」「創業以来の信頼」をうたっているのに、サイトのドメインがつい最近取得されたものだったら、その実績はどこで積んだのでしょうか。

確認方法は簡単です。「Whois検索」と呼ばれるサービスで、ドメインの登録日を調べられます。検索エンジンで「Whois 検索」と入力すれば、無料のツールがいくつも見つかります。そこに事務所サイトのドメインを入力するだけです。

私が遭遇した業者のサイトも、Whoisで調べるとドメイン取得直後でした。「数億円の実績」と取得直後のドメインという矛盾が、不信感を決定づけた最初の手がかりです。

見抜き方その2 ― 解決事例の文章をコピペ検索する

怪しい業者のサイトには、たいてい「お客様の声」や「解決事例」が華々しく並んでいます。ここで有効なのが、その文章をそのままコピーして検索エンジンに貼り付けるという方法です。

同じ文章が、別の事務所名のサイトでもまったく同じように使われていたら、それはテンプレートを使い回しているということです。実際の解決事例ではなく、体裁を整えるために量産された作り物である可能性が高い。

私が確認したときも、解決事例の文章が複数のサイトでそっくり同じでした。本物の事例なら、依頼者ごとに状況が違うはずで、文章が完全一致することはまずありません。

見抜き方その3 ― 顔写真を画像検索にかける

代表弁護士の顔写真や経歴が載っていると、人はつい「実在する立派な先生だ」と安心します。しかしその写真、本当に本人でしょうか

確認方法は「画像検索」です。サイトに載っている顔写真を保存して、Googleなどの画像検索にかけてみる。もしその写真が、海外のストックフォト(販売用の素材写真)サイトでヒットしたら、それは「買ってきた他人の写真」です。実在の弁護士の顔ではありません。

私が見た業者の写真も、調べるとストックフォトでした。顔と経歴があるという安心感は、こうして簡単に作り出せてしまうのだと思い知らされました。

見抜き方その4 ― 連絡手段が「電話のみ」は赤信号

正規の弁護士事務所であれば、事務所の所在地が明示され、対面相談ができ、書面でのやりとりも当然あります。ところが怪しい業者は、連絡手段が電話だけに限定されていることが少なくありません。

対面を避ける、書面を残さない、事務所所在地が曖昧――これらはすべて「足がつかないようにする」ための特徴です。あとで連絡が取れなくなっても、追いかける手がかりを残さない設計になっているのです。

「お会いして相談したい」「契約内容を書面でいただきたい」と申し出たときの反応も、見極めの材料になります。正当な事務所なら当然応じる要求を渋るようなら、その時点で距離を置くべきです。

見抜き方その5 ― 「絶対に取り戻せます」という断定

これは、最もシンプルで、最も重要なサインかもしれません。「絶対に」「100%」「必ず取り戻せます」と断定する相手は、信用できません

詐欺被害の返金は、加害者の特定、資産の有無、法的手続きの可否など、不確定要素の塊です。誠実な専門家ほど、「できる限り尽力しますが、結果を保証はできません」と正直に言います。結果を断定するのは、契約させることが目的だからです。

思い出してみてください。最初に詐欺に遭ったときも、「確実に」「必ず」という言葉に惹かれたのではないでしょうか。二次被害の業者は、その同じ言葉を、今度は「救済」の顔をして使ってきます。

見抜き方その6 ― 初期対応・受付スタッフの態度

意外と見落とされがちですが、最初に電話を取った人の態度は、その組織の本質を映します。

私が電話したとき、最初に対応した受付の女性は、「投資詐欺の被害に遭った」と告げた瞬間、どこかこちらを見下すような口調で何かを返してきました。被害者を救済する事務所であれば、被害者を見下す応対などあり得ません。この違和感が、私の不信感の出発点でした。

その後に出てきた担当者も、淡々として事務的で、こちらの事情に耳を傾けるより先に、着手金の金額と「本日中の振込」を提示してきました。「今日中に振り込めば明日から動く」という急かし方は、冷静になる時間を与えないための常套手段です。

本物の弁護士かどうかを確かめる方法

ここまでは「怪しいサイン」の見抜き方でしたが、逆に「本物かどうかを積極的に確認する」方法もあります。

  • 日本弁護士連合会の「弁護士情報・統計」で検索する ― 弁護士は全員、いずれかの弁護士会に登録されています。氏名や登録番号で実在を確認できます。
  • 所属弁護士会に問い合わせる ― 本当にその事務所・その弁護士が登録されているか、弁護士会で確認できます。
  • 事務所の所在地を地図・ストリートビューで確認する ― 住所が実在し、事務所として機能していそうかを目で見る。
  • 固定電話・所在地・対面相談の有無を確認する ― 携帯番号のみ、所在地非公開はリスク。

とくに弁護士会への照会は強力です。正規の弁護士は必ず登録されているため、登録が確認できなければ、それは弁護士を名乗る別の何かです。

二次被害に遭わないための心構え

テクニックも大事ですが、最後は心構えです。私が一次被害の経験から学び、二次被害を回避できた理由は、結局のところ一つでした。

「もう、即決はしない」

マルチ商法でも、投資詐欺でも、私が損をしたのは決まって「その場で決めてしまった」ときでした。だから偽弁護士に「本日中に」と急かされたとき、過去の痛みが警報を鳴らしてくれたのです。

被害回復をうたう相手が「今すぐ」「今日中に」と急かしてきたら、それだけで一度持ち帰る理由になります。誠実な専門家は、あなたが冷静に検討する時間を奪いません。急かす相手は、急かさなければ契約してもらえないと知っているから急かすのです。

正しい相談先 ― まずは公的窓口へ

詐欺被害に遭ったら、怪しい民間業者を検索する前に、まずは公的な窓口に相談してください。費用がかからず、二次被害のリスクもありません。

これらの公的窓口を通じて紹介された弁護士であれば、少なくとも「実在しない偽弁護士」である心配はありません。

おわりに ― だまされた自分を、二度責めないために

詐欺に遭ったあと、人は「自分が悪かった」と自分を責めます。その弱った心に、「私たちが取り戻します」という甘い言葉は、痛いほど沁みます。だからこそ二次被害は起きるのです。

けれど、もう一度だけ思い出してください。あなたを救うと言って急かしてくる相手は、あなたを救った最初の人ではありません。本当にあなたの味方になる専門家は、まずあなたの話を聞き、結果を断定せず、冷静に考える時間をくれます。

私自身、ぎりぎりで踏みとどまれたのは、知識があったからではなく、過去の痛みが「待て」と言ってくれたからでした。この記事が、あなたにとっての「待て」の代わりになれたなら、これ以上のことはありません。

関連して、私が実際に投資詐欺・偽弁護士と対峙した経緯はこちらの看板記事に、その前段にあたる投資詐欺の手口は「ボートレース必勝情報詐欺の体験記」に詳しく書いています。


※ 本記事は運営者個人の体験に基づく記録であり、特定の弁護士・事務所・業者を名指しで非難する目的のものではありません。法的助言ではありません。実際に被害回復を検討される際は、必ず公的機関や正規の弁護士・司法書士へご相談ください。本記事で挙げた特徴は一般的な注意点であり、すべての事案に当てはまるものではありません。

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